特集  創立80周年を迎えて 長谷部 和久 | 岐阜薬科大学同窓会

会報九重(ここのえ)

特集  創立80周年を迎えて 長谷部 和久

今後の薬剤師像 ―行政の立場から―創立80周年記念事業実行委員長
厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長
長谷部 和 久(大32)

薬学6年制の卒業生が出てから2年目となります。 6年制によって何が変わったのか徐々に評価されることになります。 研究主体の新4年生もどうなるのか同様に注目されています。 岐阜薬科大学も創立80周年を迎え今後20年間が本学だけではなく、 薬学部にとっても正念場となります。
6年制の薬剤師については、 当初の目的通り即戦力の臨床に強い薬剤師を徹底的に養成していくことです。 今後日本は高齢化が進むことにより一層患者数も増えることが予想されます。 この患者数をカバーする医師、 看護師の数は十分ではないと言われており、 医師の地域における偏在も問題視されています。 医師、 看護師の定員も少し拡大されていますが、 高齢化のスピードに比べると緩やかなものになっています。 これに比べて薬剤師の定員増は大きく、 今後臨床現場における薬剤師の活躍の場は拡がっていくのではないかと予想されます。 これからの臨床現場で薬剤師が活躍するには、 これまでの薬剤業務の拡大だけではなく、 医師、 看護師が従来行ってきた業務まで一部薬剤師が行うことが必要になってくると思います。 病院内における薬剤管理、 調剤、 服薬指導をより一層充実されることはもちろんですが、 チーム医療に参加し薬剤師がいないことは考えられないというところまで、 業務をまかされ、 信頼される存在になる必要があります。 そのためには、 薬剤師が患者と接する機会を多くし、 患者の状況を把握することからはじめなければなりません。 大学の時代からできることは、 薬剤師の意識の変革です。 現在の医療機関の薬剤師自ら変わることができればいいのですが、 長年調剤室にいることが中心であった薬剤師が急に変わることは難しいので6年制薬剤師への期待は大きいです。 これには学生時代の教育が重要で、 卒後にすぐ現状の薬剤師のどこを変え、 何をすべきかという教育を実施していただきたいと思います。 このためには教員自ら医療現場で将来の薬剤師像を見据えて薬剤師の活躍の場を拡げるべく、 どんどん新しい働き方を提案・実践していただきたいと思います。 今後薬剤師の活躍の場は多いにあり、 期待されています。 しかし、 この期待に応えられない場合は、 薬剤師の将来は非常に暗く、 医師・看護師のみのチームとなってしまうことでしょう。
研究の面からも薬剤師を見ていきたいと思います。 言うまでもなく大学で医薬品のことを最も理解しているのは薬学部です。 化学・生物学の基礎から合成系、 生物系、 製剤、 薬理、 生薬等幅広く医薬品に関係したことを学ぶことができます。 今後もこれらの中の一つの領域に秀でた専門家を養成していくことも重要ですが、 これは、 他の学部例えば理学部、 工学部、 農学部等でも可能な場合もあります。 これからは、 より実践的、 幅広い考え方ができる専門家を養成していくことが重要です。 私の最近の経験から例をあげて説明させていただきます。 日本の財政事情は厳しく、 毎年研究費を含む予算は削減されています。 これを受けて行政側でも研究費の投入方法が変化し、 公募型の比較的自由なテーマで研究できたものから、 行政のニーズに合わせた研究を行う指定型の比重を高くする傾向が出てきています。 この傾向について薬学研究の重鎮の方にも意見をうかがったところ、 全面的に支持されました。 中でも実際の行政施策に反映させるデータを集める研究の必要性が望まれ、 人材的にも化学物質等のリスク評価ができる人材がまったく不足しているとされています。 大学でも PMDA との連携大学院構想、 レギュラトリーサイエンスの推進等実際世の中の変化に資する研究分野を育てていただきたいと思います。 漫然と研究するのではなく、 実際に役に立つ研究なのか、 まったく新しい発想の斬新な研究なのか常に意識することが重要です。
今後の大学のご発展を祈念いたします。

岐阜薬科大学

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