御挨拶 名誉会長 | 岐阜薬科大学同窓会

会報九重(ここのえ)

御挨拶 名誉会長

岐阜薬科大学長 永 井 博 弌

nagai

 岐阜薬科大学同窓生の各位には、 益々御健勝にて御活躍のこととお慶び申し上げます。 日頃より御多忙の中、 教育研究基金をはじめ、 特に本年は75周年記念学舎建設募金に多大なる御協力をいただき、 加えて、 精神面でも厚い御支援をいただいておりますこと、 誠に有難く、 大学を代表して厚く御礼を申し上げます。 また、 本年は創立75周年、 大学開設60年を迎える記念すべき年であります。 この長い歴史を築き上げていただきました同窓生の皆様方に感謝申し上げると同時に、 共に慶びを分かち合いたいと思います。
さて、 これまで九重誌上、 各支部同窓会の席上で御報告しております通り、 薬学教育制度が改革され三年目となりました。 本年も本学には多数の入学志願者が集まり、 質の高い学生が大勢入学して参りました。 大学全入時代、 薬学部乱立の時代ですが、 本学は大変恵まれた状況にあると思っております。 これもひとえに同窓生の諸先輩方の社会での御活躍が評価となって表われたものと思い、 あらためて同窓生諸兄姉に感謝申し上げる次第です。 昨年、 一昨年の九重でも御報告致しましたように、 現在、 大学では六項目の重点課題について、 長、 中、 短期の目標を設定し、 大学の理念である 「薬と健康についての高度な研究に支えられた教育により、 有為な薬学専門職業人を育成し、 それらを通じて社会に貢献すること」 を実現するよう一歩一歩着実に進んでおります。 これまでと同様、 「①新しいカリキュラムに基づく教育、 ②世界レベルに対応する研究、 ③地方に生きる大学としての社会連携、 ④新教育制度に対応する組織改革、 ⑤岐阜大学を中心とする近隣大学との連携、 ⑥岐阜大学医学部敷地内での新学舎建設について」の六項目を最重点課題としております。 「新しいカリキュラムに基づく教育」 につきましては、 教育の効率化、 一貫性を目指し、 教員の教育支援センターとして開設したグリーンファーマシー教育推進センターが大変有効に機能しております。 全学年を通じてのヒューマニズム教育、 それにエコロジー精神を加えた本学独自の 「グリーンファーマシー (ヒトと環境にやさしい薬学)」 教育が進展しております。 無論、 新しい教育で求められている 「問題発見、 問題解決能力」 「プレゼンテーション能力」 「医療人として必須の知識・技能・態度教育」 などの全般にわたる分野で 「学習者主体」 の教育となるよう統括しながら、 優秀な人材の育成に努めています。 一昨年より、 文部科学省から高額の補助をいただいて進めております 「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム (医療人 GP)」 も本年度で終了致しますので、 今後は自力でいかに効率的に質の高い医療人教育を行うか、 来年度に向けて準備に入っております。 また、 薬学分野で国際的に活躍できる研究者・技術者の養成を目指す薬科学科も来年には新しい大学院を設置する予定で、 着々と準備を進めております。 これまで諸先輩によって築かれました研究を通じての教育を更に充実させることができるよう、 大学院を整備して一層研鑽を重ねていく所存であります。
第二の世界レベルに対応する研究については、 着実に前進しております。 前回までにも述べましたように、 大学にとって研究は大切なものであり、 研究を通じて高度な教育と大学運営のための資金確保がはかられています。 本学での研究は教員一人一人の自由闊達な研究と 「育薬」 「創薬」 「環境」 を柱とする大学プロジェクト研究から成り立っています。 本年度も昨年度同様、 大学プロジェクト研究に対する予算の傾斜配分および 「育薬・創薬研究セミナー」 を同窓会の後援のもと開催する予定です。 大学ランキングの調査では、 本学教員一人当たりの論文数は、 ライフサイエンス分野では全国で第三位、 外部資金導入額は 500 以上ある大学の中で31位と高いランクにあります。 これは教員一人一人の研究面での精進とそれに対する外部からの評価の高さを意味し、 今後共この水準を維持して参りたいと考えております。
第三の社会連携は、 昨年と同様に活発に進めておりますが、 今年度は特に大学の知を財産として社会に活用できるよう、 いろいろな制度を整備しております。 昨年は知財ポリシーを策定したことを御報告致しましたが、 現在、 知的財産活用や利益相反、 あるいは研究者倫理などの規約を整備し、 社会との連携を行う上での基盤を作っています。 産官学連携という日本社会全体の命題を遂行できるよう、 大きな枠組みの整備を行っています。 同時に、 社会への開かれた大学として公開講座や出前講座、 あるいは小中高校生を対象とした講義など地域の 「知の拠点」 としての位置を固めつつあります。 地方公共団体の中では多くの委員会や諮問会議メンバーとして本学教員が活躍しております。 特に薬草や製剤技術など、 薬学特有の知識や技術を生かし、 本年度も 「健康科学」 をキーワードに推進する予定です。 すでに地方公共団体による健康産業活性化プロジェクトにも参加し、 産業や観光分野で具体的な成果が出つつあります。
さらに第四の組織改革については、 昨年度から大講座制を取り入れ、 教員の教育・研究での役割を明確化致しました。 本年度は大学運営組織の在り方について改革を行っております。 新しい学部長、 研究科長制度を取り入れ、 時代の動きに合わせた運営組織を構築して参ります。 薬学部については、 本学のみが公営の大学となり、 あと全ての他の薬学部は法人となっております。 従って、 法人組織の中で、 本学が取り入れることができる運営体制を学び取り、 学内委員会、 経営委員会、 経営協議会など最終議決機関である教授会の支援体制と執行機関による大学の運営が現実的に、 円滑に進むように体制を整備しております。 また、 昨年から倫理的な規約を整備し、 「コンプライアンス」 あるいは 「ハラスメント」 など社会の要請に応じた説明責任、 行動の透明性を高める規約を整備しました。 このような組織の改革によって、 大転換期の大学運営をしっかりしたものにしていきたいと考えております。
第五の岐阜大学を中心とする近隣大学との連携につきましては、 昨年、 岐阜大学と本学で全国初の国公立大学による連合大学院が設立され、 順調に遷移しております。 この取り組みは全国の国公私立大学間の連合、 連立、 連携のモデルケースとなるものであり、 支障のない運営に責任を感じています。 さらに本年は 「がん専門医療人養成プログラム」 の中で、 名古屋大学医学部と連携し、 がん治療の専門薬剤師の養成を目指した大学院コースが始まりました。 このプログラムは名古屋大学が中心になりますが、 医学部では岐阜大学、 浜松医科大学、 藤田保健衛生大学が参加し、 薬学部は名城大学と本学が参加して設置されました。 本年、 本学のこのコースに入学生が入り、 本格的な教育が始まっております。 この他、 岐阜地域の大学が一緒になって教養教育、 特に語学教育の連携が組めないか、 議論が始まったところです。 大学での教育も従来とは少しずつ形を変え、 連携・連合による効率化と省力化、 そして外国を含めた他大学に対する競争力を強化する方向に動きつつあります。 その意味で、 本学も地域の他大学との教育・研究における協力関係をさらに構築していきたいと思っております。
最後になりますが、 教育制度の変革に伴い学生数増加への対応、 および教育内容の充実を図るため、 新学舎を岐阜大学医学部の敷地をお借りして昨年10月20日より建設が始まりました。 本年が本学創立75周年に当たり、 その節目ということもあって、 75周年記念新学舎建設事業として位置づけました。 現在、 免震工事の基礎が終了し、 建物本体の工事へと移りつつあります。 来年10月の完成を目指し、 着々と工事が進行しております。 また、 岐阜大学の御厚意により、 岐阜大学の施設・設備の一部を使用させていただけることとなり、 現在、 ソフト面の協議を進めております。 本学の教育・研究がより一層充実されるものと関係各位には深く感謝致しております。 新学舎が本学はもとより、 岐阜大学にとっても、 岐阜地域にとっても大いに有用なものになるよう最善の努力をして参ります。 また、 この建築に当っては、 一昨年より同窓生の諸兄姉に募金委員会を設立していただき、 活発に募金活動を進めていただいております。 すでに 1,000 余名の同窓生の方々から御寄附をいただき大変感謝致しております。 しかし、 まだ目標額には到達しておらず、 募金期間の延長を考えております。 何卒母校の発展のために、 今一度の御協力をお願い致します。
以上、 大学の現状について御報告申し上げましたが、 大学自身が激動の時代、 加えて、 全く新しい考えに基づく新制度の薬学部誕生の時期です。 まだまだ大学にとっては 「大学の独立行政法人化」 「分校化」 「急速な学問・教育の進歩への対応」 など大きな問題を解決していかねばなりません。 このような本学が抱えております問題について、 大学職員一同一丸となって取り組む覚悟でございますが、 これらの問題を大学職員のみで解決していくには限界があります。 何卒、 同窓生諸氏の物心両面にわたる一層の御支援をお願い致します。
また、 本年は創立75周年、 大学開設60年を迎え、 祝賀会の開催などの御意見をいただきましたが、 来年度、 新学舎の完成もありますので、 新学舎竣工等の事情を勘案して進めて参りたいと思っております。 御理解の程、 お願い申し上げます。
諸先輩によって築き上げられました岐薬魂は現在も脈々と生きております。 この伝統を次の世代に引き継ぐことができるよう何卒、 今一度大学に眼を向けていただき、 一層の御声援をいただきますことをお願い申し上げまして稿を閉じさせていただきます。

九重73号より

岐阜薬科大学

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