研究室紹介 | 岐阜薬科大学同窓会

研究室紹介

研究室紹介

薬理学研究室

-アレルギー疾患の克服を目指して-

教 授 稲 垣 直 樹

薬理学講座は1968年9月15日に、岐阜大学医学部より故江田昭英教授が着任して開講しました。1993年に江田教授から永井博弌教授にひき継がれ、2005年より現体制で教室を運営しております。2007年には、学内組織改革により、機能分子学大講座 薬理学研究室と名称を変更しました。また同年、岐阜薬科大学と岐阜大学とで岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科が設立され、本大学院へも参加しています。連合創薬医療情報研究科は、国際的に高い水準の創薬医療情報にかかわる教育・研究と、多方面の学術情報の蓄積と発信を目指し、高度な専門性を有した研究者の育成や社会人のリカレント教育の形成を目指して設立されました。2010年には、三田洞の学舎から、岐阜大学医学部の敷地内に新設された新しい学舎へ移転しました。現在は、稲垣直樹 教授、田中宏幸 准教授、山下弘高 助教、小野成美 嘱託職員の4名で、研究室の運営にあたっております。

vol76研究室紹介-薬理学
薬学・薬剤師教育を取り巻く環境も大きく変化し、2006年からは大学の体制も、薬剤師の育成を目的とした6年制の薬学科と専門性の高い研究者の養成を目的とした4年制の薬科学科の2学科に再編されました。現在研究室では、両学科の学生がお互いを刺激しあい、研究活動に励んでおります。
また、薬理学研究室は、タイや中国、エジプトなどからの外国研究者も入れ替わりで加わり、国際色の豊かな研究室となっています。そして連合創薬医療情報研究科では、これまでに多数の社会人ドクターが在籍し、学位を取得していることも大きな特色です。

薬理学研究室では開講以来、免疫薬理学という新しい分野を開拓してアレルギー疾患の克服にむけた治療薬の開発を目指し、アレルギー疾患モデルを作製して発症メカニズムの解明や機能分子の探索を進めてまいりました。
これまでに当研究室では、マウスを用いた掻破行動を伴う皮膚炎モデル、気道過敏性モデルや気道リモデリングモデルなどを作製し、研究成果を発表してきました。これらのアレルギー疾患モデルは、多くの研究者から高い評価を受け、現在ではアレルギー疾患の評価における標準的な実験的手法として認知されています。これらの基礎研究の成果から、トラニラストとスプラタストという2 種の新しいタイプの抗アレルギー薬が生まれております。トラニラストは初めての内服できる抗アレルギー薬であり、現在ではケロイドの瘢痕形成抑制に対しても使われています。スプラタストはアレルギー疾患において重要な役割を演じるIgE や種々のケミカルメディエーターの働きを抑える抗アレルギー薬です。
最近の研究では、ダニ抗原やウイルス感染などの環境因子のアレルギーへの関与について研究を進めております。特にダニ抗原については、ダニ抗原自体の解析や、ダニ抗原によるアレルギー症状の発症や増悪機序の解明を進めています。
また、患者数の増大やアンメットニーズとして注目されている慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease, COPD)、食物アレルギーならびにシックハウス症候群のマウスモデルを作製しました。
COPD は、タバコ煙の吸引や大気汚染などによって肺に炎症が起こり、気管支粘液の過分泌と肺胞壁の破壊によって気管支の空気の流れが低下する疾患です。COPDは発病してから重症に至るまでに非常に長い時間を要します。初期の症状では、運動時に呼吸の苦しさや乾いた咳、痰が続く症状がみられますが、重症化すると、運動をしていない時でも呼吸が苦しくなり、慢性の呼吸不全などを合併して意識障害や死に至ることがあります。COPDは、世界での死亡の原因の4番目にあたる疾患でありますが、重症患者や急性増悪期の患者の症状のコントロールは不十分です。
食物アレルギーも、患者数が増加し、難治化してきているアレルギー疾患の一つです。本来なら、経口的に摂取される食品に対しては経口免疫寛容が働き、免疫応答が抑制されるはずですが、食物アレルギーの患者では、経口的に摂取したタンパク質に対してアレルギーが誘導され、重症の場合ではアナフィラキシーショックにより死に至ることもあります。従来は、成長とともに寛解する疾患として認識されておりましたが、近年では遷延化する例が増え、また、成人になってから発症する例も増えております。
これらの疾患に対する基礎的解析は、今後の治療法や治療薬の開発に役立つものと考えております。
研究室の設立以来の「創薬の伝統」を受け継ぎ、研究室が一丸となって、アレルギー疾患の克服にむけ、教育活動・研究活動に研鑚する所存です。今後も、研究室で作製したアレルギー疾患モデルを用いた研究から、アレルギー疾患の治療に貢献できる情報を発信していきたいと考えております。

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